旅 「トドワラ」 -133-
ひとつ間違えば、「遭難」したかもしれない話です。
これまで旅して・・一番の思い出は、やはりここです。
北海道・野付半島のトドワラ。「大地が海水の浸水と潮風によって立ち枯れた」風景で、こういうところは他では見たことがありません。
当時(S46)でも、夏場には観光船が出ていたらしいのですが、5月でしたから、交通手段は何もなく、奮発してタクシーで行きました。運転手さんは、30分くらいなら待っているよ、と言ってくれたけども、この雰囲気にタップリ浸りたくて、断りました。
枯木の風情もさりながら、思いがけないほど近くに国後島が見えますし、誰ひとりとしておらず、さいはての雰囲気を満喫しました。
そろそろ帰るかと、歩き始めました。ところが正面からの風が強くなり、道路は砂地。駅で預けておけばいいものをタクシーに乗ってきたので、背中には不安定に重いザック・・。
もう少し海に近い方が、地面が固くなっているかもしれないと思い移動しましたが、ここも変わらず、これでは暗くなっても絶対に標津(しべつ)には着かない、というような状況になってきました。何となく・・涙が滲みそうにも・・心細くなりましたが、そこは腹に力を込めて何時間か歩きました・・、だけどもやっぱり、この調子では・・。
と・・、少し離れた、砂地の道路からクラクション・・、立ち止まると、軽トラックが停まっていて「乗れ」らしき合図、「助かった・生きた」と本当に思いました、乗ったら、「どうだ」とガムをくれた。その後、この若い運転手、一言もしゃべらず、当然、まだ呆然自失としている私もしゃべらず・・、駅近くまで送ってくれた。
何時間も車なんて通らなかったし、薄暗くなりかけていたのだから、あのままでは・・どうなったか、分からなかった・・と思っています。翌朝、標津はウッスラと雪が積もっていました。
10年くらい前でしょうか、北海道ツアーでトドワラに行きました。この時、往きは船でした、アザラシが顔を出したりして、楽しかったのです。立枯れの木は、随分と朽ちてしまっていて、当時とは比べようもない、インパクトに乏しい風景になっていました。
舗装された道路を暖房十分のバスで走りながら、あの寒さと恐怖、そしてあの運ちゃんの無愛想だけども頼りがいのある横顔を思い出しました。あれは多分、一生忘れることはないでしょうね。
上の写真は、最初に行った時の絵葉書です、枯れ木がしっかりしていますね。
下は私の撮った当時の写真、国後島もうつっています。



この記事へのコメント
この記事を読ませていただいて、実に野付の様子を的確に表現しているなと思いました。
私は北海道に住んでいて、野付には写真を撮りに長いこと通い続けていますが、本当にここに書かれているとおりです。
モノクロ写真が全盛の時代に、有名な風景写真家の緑川洋一さんが撮ったトドワラの写真を見たことがありますが、それは異様でとてつもなく迫力のあるものでした。それが今は普通の風景になってしまいました。しかし、それでも今もって野付には人をひきつける魅力があります。
記事の中にトドワラからの帰りのことが書かれていますが、今は遅くまで旅行者の車が走っていますよ。今になってみると、忘れることのできない体験でしたね。
自然の厳しさが凝縮されているような風景・・・“トドワラ”というのは、先住者の言葉でしょうか?
北海道の5月といえば、まだまだ寒いはず。いくら“人生ゆっくりに”とはいえ、無茶をしたものですね。
なにか思うところあっての一人旅だったのでしょうか・・・などと勘ぐってみたり(ウソです・笑)
でも、ほんとに生還できてよかったですね。
ぶっきらぼうだけど親切な運転手さん、かのテレビドラマ「北の国から」のイメージと重なります。
訪問していただき、そしてコメントありがとうございました。先ほどそちらのブログ拝見させていただきました。北海道のキレイな写真がいっぱいで、いい方に来ていただいて、思わず万歳いたしました。愛犬が少し歳をとり、ひとりにするのは可哀そうな感じもして、最近、ツアーなどには出かけておりません。何年も前からガリンコ号に乗りたいと思っているのですが・・。
次の「旅」第二弾も北海道としますので、またみてください。
それにしても「トドワラ」というと、今も怖いです。
やはりアイヌ語かな・・知りませんです。
そうかバレましたか、実は失恋の痛手があり・・(・・ウソです、そんなことは全くなく・・、そういうのがあったら確かにドラマチックだとも思え・・無かったのが悲しくとも思え・・)
「北の国から」の大型トラックの運転手ですか・・、こちらは軽でしたけど、なるほど似ていたかも・・、そういえば、お礼の言葉は心を込めて、言いいましたが、お札はださなかったな(そんな気持ちの余裕は当然、なく・・)、出していれば、ホントに「北の」雰囲気そのままだったかとも思え・・(われながらクドイ・・)。
「旅」の第三弾は池田にしました、また、トンマな話ですけど・・。
トドワラに興味がわいて、検索してみました。
野付半島、すっごい地形ですね。遭難もやむなし!
一度、行ってみたいなあと強く思いました。
でも一人では行くまい(笑)、遭難しそうだし。
北海道は一度、全国大会で行きましたが、とんぼ帰りで
時計台くらいしか見てないんです。しかも泣きべそかきながら・・・。
↑のまなちゃんさんのブログものぞかせてもらおうと思います。
あ、トドワラは「トドマツの墓場」って意味だそうです。
北海道は、いいですね、真っ直ぐな道にも感動します。ただ難点は、広くて移動に時間がかかること。
5回行きましたが、まだまだ行っていないところが沢山あります。
「トドワラ」行きたい所が、また、増えました。