「女たち~・妻たち~」  -571-

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「オトコ」・・、「オンナ」・・。
現在でも、何かと「男」のほうが相対的に恵まれている・・のは間違いないでしょう。

少なくとも、終戦以前は・・全くの「男中心」社会です。本になっている小説なども、当然に「男」の物語が圧倒的に多いです。
「強い」女性作者は、それに果敢にチャレンジします・・。

「女たちの忠臣蔵」
作者は、橋田壽賀子です。

忠臣蔵や赤穂浪士につまわる書名をアマゾンでリストアップしてみたことがあります、もの凄い数です・・。様々な角度から切り取られた物語が描かれているのでしょうが、「女」の物語は、少ないと思いますね・・。

ある赤穂浪士の妹が、吉原で花魁をやっています。親族三人が討ち入り浪士に参加しており、その生活費捻出のため・・苦界に入りました。
義姉も同様です・・こちらは、吉原の最下層エリアである掘脇で、荒んだ生活をおくっています、何と、討ち入り成就の後、無惨に殺害されてしまいます。

1年を超す江戸暮らしの中で、「討ち入り」の意志を捨てさえすれば、幸せが約束される男女の出会いが、ここそこに展開されます。
討ち入りを断念する者もいますが、そうでない浪士が多いです、当然に真実を話す訳にはいきません。

何か「ふっ切れない」思いをしていた女たちは、討ち入り後、浪士たちが泉岳寺に向う道で、その姿を見て、その事実を知ります。
悲しいですね、切ないですね。

実は、この物語は昭和56年、テレビドラマのために書かれたものだそうです。忠臣蔵ファンの私は、当然、観ました。ずっと、本でも読みたいと思っていましたが、書店の棚でみつけることはできませんでした。いつでしたか、フト立ち寄ったブックオフにありました。

内蔵助の妻「りく」が、討ち入り時に江戸に出てきていた・・などという絶対にありえない設定をはじめとして、エピソードの殆どが、作者の創作でしょう。でも上手いですね、「あったかもしれない」と、思わせてくれます。本当にユニークな忠臣蔵物語です。
「勝手なる男ども・・」という作者の思いも、少し・・感じます。


「妻たちの2.26事件」
澤地久枝の処女作だそうです、渾身の一冊・・といっていいのではないでしょうか。
この事件名は、誰もが知っており、本も沢山書かれていますが、これも「妻」にスポットを当てたところがユニークです。

橋田「女たち」は、壮大な空想の産物ですが、この本は、全く逆で、実際に「妻たち」に取材し、資料を積み重ね、まとめあげられてものです。

2.26事件は、実のところ詳しくは知りません。何か、すっきりしない事件だ・・という印象です、事件そのもののことは、一応、別として・・。
死刑になった男の「妻たち」を、この本は、丹念に描きます。

「妻たち」は、事件を聞き、夫が参加していたことを聞いた時、唖然とします、全く何も聞いていなかったからです。中には、結婚後間もない妻や、産後すぐの妻もいます。

多分、その「夫」たちは、死罪になることまでは、考えていなかったのでしょう。5.15事件の時、死罪になった者がいなかったそうですし・・。

それはそれとして、残された妻たちは、国賊ともいうべき反逆者の「残された妻」です、しかもあの時代ですから・・、大変です。
弱かった「妻」もいたと思いますが、ここに書かれている「妻」たちは、強いです。強くなければ生きられなかったのかもしれません・・。

沢山、紹介されている遺書や手紙・・、男の私から見ても、少しムッとします。
「よき妻であった」「愛している」「子供を頼む」「親を頼む」「幸せな人生だった」「国のため」「後悔はない」・・。
こんなことを、言われてもね・・と私は思います。でも、そういう時代だったのでしょうね。
幸せにドップリと浸かっての思いは・・、少し、時間をおいて考えた方がいいかも・・しれません。

浅野内匠頭長矩も赤穂浪士も、2.26事件の首謀者( といわれている人)たちも、時代の流れの中で、当然のように死罪となります。
難しいところですが・・、自分だけの信念で生きていいのか・・、何か・・、いろいろと考えてしまいました。
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